清廉な爽やかさを感じた「さわらびの譜」

時代小説なのですが、どちらかというと若い世代のちょっと気恥ずかしい「青春」的な物語を楽しめる一冊でした。

主人公は、弓道で武士として殿様に仕えている家の長女。

我が家の弓道を継ぐには、途中からの婿ではなく生まれた時から、弓に触っていなければと言う父親の考えから、女性だけど弓使いとして、育てられています。

某少女マンガの金字塔、ベルサイユのバラ的なのですが、少し違うのは武士道的な精神は叩き込まれていても、見かけは女性のまま。

その為まっすぐで、背筋が常にピンと伸びたような、清廉な魅力的な女性として描写されていて、読んでいて同調しやすいのも良かったです。

自分と同じほどの、弓使いの相手から縁談が来たけれど、娘は家を継ぐものだからと、縁談は妹に。

主人公は相手を好きに思っていたけれど、仕方がないと妹の幸せを思い自分の心を伏せます。

しかし妹は妹で、姉の心を知っており、私がその縁談をうけていいものかと思いつつも、父の言いつけなので逆らえないと言うのは、女性読者に共感しやすいのではないでしょうか。

そこにお世継ぎの異母兄に当たる登場人物や、その異母兄を鬱陶しく思い、殺害しようとする企みなどが混ざり、物語はテンポよく進んでいきます。

最終的にはハッピーエンドとして、全員に対して後味がよく色々な関係が納まってくれるのも、嬉しいポイントですね。

時代小説は暗くて重いと、忌避されている方にも好まれる明るい爽やかなお話でした。