DV夫に怒りと恐怖を感じながらも、一気に読み進めてしまう「手のひらの砂漠」

派遣社員として働く主人公、可穂子は同じ会社の男性と交際することになります。

交際中は全く暴力的な態度を見せることはなく

逆に紳士的で、可穂子は結婚後の恐ろしい生活が待っているなんて思いもしないような男性でした。

実際だとDVをしてしまう人は、交際中でも何かしらの予兆を見せてしまうような気がします。本作品では、夫は両親や兄弟にかなりの劣等感があり、両親との会話が敬語であるということ、その際はかなりの緊張状態にあることで、何か普通の家庭環境ではないと思うかもしれないなと思います。

でも、結婚願望が強い時期にはそういったことよりは、結婚を止めてしまう原因にはならないのかもしれないとも思います。

そして、結婚してしまうのですが、夫が徐々に本性をさらけ出してきて、可穂子は身体的にも精神的にもボロボロにされてしまいます。とうとう殺されそうになり、やっとの思いで交番に助けを求めます。

夫の元を離れ、離婚を決意するのですが、それからの夫の執拗な攻撃が本当に恐ろしく、どうにかして、夫から解放させてあげたいと思い、息苦しくなるような場面が続きます。

行政や弁護士、支援団体等の助けをあって、普通の生活ができそうになるのですが、元夫に見つかり、元のマンションに戻ることになるという展開に、怒りが湧いてきます。

最後は夫にまたDVの果てに、殺されそうになり、どうにかそれをかわし、その際に元夫は転落死してしまうという結末に、正直スッキリしました。

人の死は悲しいはずですが、死んでくれてよかったと思う人もいるのだと思います。

この作品では、その加害者の死に対する考え方を問うているような気もします。

また、私の家族もこのような人に巡り会わないことを祈らずにはいられませんでした。